西の魔女が死んだ

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「西の魔女が死んだ」は1994年に刊行された梨木香歩さんの同名の原作をもとに2008年に映画化されたものだ。

主人公は中学生になったばかりの少女、まい。学校でのふるまい方に違和感を覚えて不登校になってしまったまいが、”西の魔女”こと、母方の祖母の家で暮らしながら成長していく姿を描いている。

思考&嗜好は思春期(13〜15歳)に出会ったこと、人、物によってある程度方向性が決まるような気がしていて、実際わたしの好きなことは14歳の時から変わっていない。この物語の主人公まいにとっても、このひと夏の出来事がその後の生き方の指針になったように。

自然の中で、自給自足。できることはなるべく自分で手仕事する。ゆったりとした時間が流れる祖母宅での暮らし。対して便利な物に囲まれ、でもいつも時間に追われている現代人。物質的には恵まれた生活のはずなのに、なぜか心は満たされないまま、大人もこどももそのことに気がつかないふりをして生きている。

損か得か。勝つか負けるか。合理的か無駄か。いつも二択の答えを迫られながら生きていないだろうか。わたしたちは何かもっと大切なものを見過ごしてやいないのか。二択以外の答えがあってもいいじゃないか。
梨木さんの書く世界から、そんな問いかけをされているように感じる。

こども向けと侮るなかれ。大人にも刺さる名言が散りばめられた作品である。
本から入るも良し、映画から見るも良し。人物造形や設定にちょっとした違いがあるので較べてみるのも面白い。
ちなみに余談だが、映画で西の魔女を演じているサチ・パーカーは、かの大女優シャーリー・マクレーンの娘さんである。

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