戦隊ヒーローのイエローは、カレー好きの食いしん坊。カレーといえば黄色、茶色ではない。幼少期にゆるぎないイメージカラーとなった。
黄色のスパイス「ターメリック」、和名はウコン。飲む前のおまじない「○○○の力」のアレである。栄養ドリンクのようなフレーバーのため、あの味がするのかと思ってくれたら大間違い。ウコンそのものは、苦い、控えめに言っても相当苦い。
ターメリックに含まれる主成分のクルクミンは、お偉い研究者のたゆまぬ努力により「スーパースパイス」と取り上げられるほど、いい事尽くしのなのである。
抗酸化性、抗炎症性、シワやシミ予防となるアンチエイジング効果・消化不良の改善・肝機能の改善、はたまたアルツハイマーの予防にも効果があるとかないとか。老若男女、美容と健康に効果があると知ると興味の触手が伸びるところではあるが、忘れずにもう一度。相当苦い。
苦くて黄色いスパイス。「なぜ、カレーにターメリックを入れるのか?」という問いは、「なぜ、夏にゴーヤチャンプルーを食べるのか?」と答えはよく似ている。
インドのみならず、世界中どこでもあてはまることではあるが、都市部を離れると、冷蔵庫はおろか電気のないエリアも存在する。食べること=生きること、ターメリックを使うことで食材を護り、身体を守る。ゴーヤの苦さもなかなか乙なものだが、夏の暑さに負けないようにゴーヤチャンプルーを食べる思想とそう違わないと思う。過去より伝承した独自の食文化が、その地域の健康長寿に恩恵を与えている。
ブータンに行ったとき、一泊だけホームステイをしてみた。日本からの客人としてもてなしを受け、素朴な夕飯をご馳走になった際、お母さんの調理風景を見せてもらった。
その季節のゴーヤ、大根、にんじん、じゃがいも、日本でもおなじみの野菜を使う様子に、何が出来るのかとわくわくしながら真剣に見入った。
「これからカレーをつくるわ」
スライスされたゴーヤは素揚げされ、刻まれた野菜は自家製バターと炒められ、鍋の中でコトコト火が通る。
「これはターメリックというスパイスよ。これが無いとカレーにはならない重要なスパイスなの」
と、黄色い粉をサラサラといれ、水を入れ蓋をして煮る。鍋が蒸気を吹きクツクツ音を立て始めた。
「最後にマサラを入れて完成よ」
と、一つまみのマサラを入れて”カレー”が完成した。
そのカレーは想像していたカレーとは程遠く、インドと国境を接する国のあるまじき姿の黄色く染まったサラサラのカレーではあったものの、身体に沁みるほど滋味深く、野菜の味とお母さんの愛情料理だった。
「良薬口に苦し」。ターメリックなくしてカレーなし。
◉お手軽アーユルベーダ的ターメリックレシピ「ゴールデンミルク」
ターメリックとしょうがの消炎効果で、風邪の引き始め、のどのイガイガに効果あり。しつこいようだが苦いので、甘くして飲むのがオススメ。
材料:
・牛乳 200cc
・ターメリック 小さじ1/2
・しょうがスライス 1~2枚
・蜂蜜(または砂糖) お好みで
作り方:
1、鍋にターメリックを入れ、牛乳を少量ずつ注ぎ、かき混ぜながら全量を入れる
2、火をつけ、しょうがを、時折かき混ぜながら煮る
3、沸騰すると一気に泡が吹き上がるので注意
4、カップに注ぎ、蜂蜜などで甘くする
◉ブータン料理お母さんレシピ「エマダツィ」
ブータンの人々はお米をたくさん食べます。男性はボウル一つ程の山盛りすぎるご飯を食べます。そのおかずは唐辛子です。辛い→ライス、辛い→ライスの無限ループ。そんなブータンの国民食のエマダツィをキノコと一緒に食べられる、ちょっと変わった世界のご飯レシピ。
材料:約3人前
シシトウ(唐辛子) 片手ほど …立て半分に切り、種を取り除く
キノコ(しめじ、エリンギなど食感が楽しいものがオススメ) 3パック … 石づきを落とし、手でちぎる
とろけるチーズ 片手ほど
ターメリック 小さじ1/2
塩 適宜
作り方:
1、鍋に油を温め、シシトウをいれ表面をさっと炒める
2、ターメリックをふりかけ、さっと混ぜ合わせる
3、キノコをいれ、塩少々を加え全体を混ぜ合わせる
4、鍋の内容量1/3まで水をいれ蓋をして、時折下からかき混ぜながら沸騰させる
5、チーズを入れ、火を弱め水分を飛ばし全体に絡まるよう混ぜ合わせる。足りないようであればチーズを追加する。
6、塩加減を適宜調整して完成
全体的に野菜がしんなりして、溶けたチーズがまんべんなく絡んでいればOKです。チーズの甘い香りと酸味、そして唐辛子の辛味とキノコの旨みのブータンフレーバーをお楽しみください。辛いシシトウに当たれば、目の前にブータンの世界が垣間見れるかもしれません。この時期、産直などで完熟した唐辛子が手に入ればチャンスです。お試しください!